
奈良県五條市の神社

二月下旬、五條市にある御霊神社に行ってみたところ興味深い神社を見つけることができた。
神社にたどり着くまでの道は狭いが、駐車場は広く30台以上は止められそうだ。
五條市には御霊神社がいくつもあり、この御霊神社は本宮より宮分けされて1238年にこの地に祀られたようだ。五條市黒駒376番にある。五條神社には合わせて祀られている神社があり、それが落杣神社だ。
起源は落杣神社の方が古く、御霊神社の御神体を駒の鞍につけてこの地にさしかかると駒(馬)の足が止まったという。そこで「御霊さんはこの森が気に入ったようだ」と言って落杣神社の森に祀ったと縁起書きにある。
落杣神社の本体

落杣神社の祭神は大山祇命とあり、山の神を祀っている。神社の裏には古墳があり、黒駒古墳(くろま)と名付けられていた。古墳の近くに巨石がある。巨石の前は小さな祠があり、そこには岩境神社と書いてあった。これも大山祇命を祀っているのだろうか?
古墳は7世紀初めに築造されたものとみられ、後期古墳だ。調査を行った時にはすでに盗掘を受けていたが、鉄鏃・須恵器・須恵器陶棺片が出土したようだ。陶棺片には線刻画が描かれており、馬の絵ではないかとする意見があるようだ。黒駒という土地の名前からするとあり得る話だろう。
古墳が神社になる

古墳は直系10m、高さ3mの円墳で決して大きいとは言えない。しかし、落杣神社と黒駒古墳は、古い神社は古墳の上にあるという説を証明する関係にあると言えるはずだ。
落杣神社は黒駒古墳の被葬者を祀ったものが、のちに大山祇命に変えられてしまったのだろう。
神の乗っ取りともいえることが古代には多く起きたはずだ。
毎日何気なく見ている近所の神社にも隠された歴史があるかもしれないと思うと、どんな神社も見過ごすわけにはいかないなと、誰もいない神社の境内で考えさせられた。